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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科62巻4号

2008年04月発行

文献概要

特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション 4.尿路結石 【尿道結石】

55.排尿痛を伴う尿道結石の患者です。対処と処方について教えてください。

著者: 辻畑正雄1 奥山明彦1

所属機関: 1大阪大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.188 - P.189

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1 診療の概要

 尿道結石は尿路結石の中で最も頻度が低く,下部尿路結石の10%以下とされ,全尿路結石症の1%以下と報告されている1)。なぜなら,大部分の結石は自然に排石されてしまうからである。ほとんどが男性の疾患で,尿道結石の男女比は95:5であったと報告されている2)。尿道結石の成因は,膀胱結石もしくは上部尿路結石が下降して尿道に嵌頓したmigrant stoneが最も多い。尿道留置カテーテルが原因で膀胱結石が発症し,抜去後に尿道に嵌頓するようなケースもある。特に寝たきり高齢者の排尿管理には注意を必要とする。寝たきりの高齢者に対しては,オムツまたは尿道カテーテルにより排尿管理されているが,慢性尿路感染症から膀胱結石を引き起こす場合が多いと考えられる。また,ごく稀ではあるがnative stone(尿道内で発育した結石)としては,尿道憩室,尿道狭窄,尿道異物などに伴って発生するものもある。

 尿道結石の症状は,排尿困難や尿線の中断,尿の滴下状失禁などの排尿障害,排尿に際しての尿道出血あるいは血尿,そして疼痛である。疼痛は,結石の存在する部位のみならず,後部尿道では会陰部や直腸に,前部尿道では陰茎,亀頭部へ放散する。また排尿後に増強するのが特徴であり,結石が前部尿道に存在すると硬い結石を触知できる。

参考文献

1)Menon M, Parukar BG and Drach GW:Urethral calculi. In:Campbell's Urology. 7th ed. edited by Walsh PC, Retik AB, et al. WB Saunders, Philadelphia, vol. 3, chapt. 91, pp2717-2718, 1998
2)稲田 務:尿石症の研究.日泌尿会誌 57:917-929,1966

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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