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6.内分泌疾患 ■副腎・後腹膜の疾患 【原発性アルドステロン症】
70.腺腫による原発性アルドステロン症の手術後,血圧のコントロールが難しい患者です。対処と処方について教えてください。
著者: 磯谷周治1 堀江重郎1
所属機関: 1帝京大学医学部泌尿器科
ページ範囲:P.240 - P.242
文献概要
原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)は,副腎での自律的なアルドステロンの過剰分泌により二次性高血圧や低カリウム血症を呈する症候群であり,40~50歳代の女性に多く,手術適応であるアルドステロン産生腺腫は比較的小型であるとされる。ここ数年の内分泌内科医の調査・研究では,高血圧の成因として原発性アルドステロン症の頻度が,従来考えられていたよりもはるかに高いことが推定され,少なくとも6%を占めているという見解に至っている。
原発性アルドステロン症の病型の中で最も多いのは,片側性のアルドステロン産生腫瘍APAで,次いで両側性副腎皮質(球状層)過形成(特発性アルドステロン症)IHAが知られている(表1)1)。厚生労働省「副腎ホルモン産生異常症」調査研究班による1997年の全国調査においては,APAが84.4%,IHAは8.3%であった2)。その他の原発性アルドステロン症に分類されるアルドステロン産生副腎癌,糖質コルチコイド反応性アルドステロン症,片側性過形成,異所性アルドステロン腫瘍は,極めて稀に認められるのみである。
参考文献
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