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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科62巻4号

2008年04月発行

特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション

6.内分泌疾患 ■副腎・後腹膜の疾患 【クッシング症候群】

71.クッシング症候群の手術を行ったにもかかわらず,症状が改善しない患者です。対処と処方について教えてください。

著者: 磯谷周治1 堀江重郎1

所属機関: 1帝京大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.243 - P.245

文献概要

1 診療の概要

 クッシング症候群とは,糖質コルチコイド過剰による満月様顔貌,中心性肥満,伸展性皮膚線条などの,いわゆる“クッシング徴候”と,耐糖能異常などの特徴的な臨床像を呈する疾患群である。広義のクッシング症候群の分類と副腎組織学的相違を表1に示す1)。泌尿器科領域で片側の副腎摘除の手術適応となるのは,ACTH非依存性の原発性副腎皮質腺腫,副腎癌などである。一般的に,原発性アルドステロン症と違い,機能性副腎腺腫によるクッシング症候群の副腎摘除手術前後の症状の改善は著明である。血中コルチゾルは急激に低下し,血圧,電解質異常などの臨床症状は急激に改善することが知られている。多くの場合,術後のグルココルチコイドの補充が必須となり,補充なしでは血圧,循環系を維持できない2~4)。したがって,片側の副腎摘除術後にもかかわらず症状が改善しない場合には,通常の片側性の機能性副腎腺腫による一般的なクッシング症候群だけではなく,そのほかに特殊な病態が存在することが考えられる。

参考文献

1)中田瑛浩:副腎疾患の20世紀における現状と21世紀の展望.内分泌外科 18:17-28,2001
2)飯原雅季,小原孝男:副腎皮質・髄質腫瘍.日外会誌 106:479-482,2005
3)牛山知己,新保 斉,青木雅信,他:クッシング症候群に対する腹腔鏡下副腎摘除術の検討―開放手術および他の副腎腫瘍に対する腹腔鏡下手術との比較.日泌尿会誌 87:986-991,1996
4)川原元司,川越真理,角 純啓,他:クッシング症候群手術症例の臨床的検討.日泌尿会誌 88:269-273,1997
5)佐藤敬悦,宮形 滋,西沢 理,他:両側副腎腺腫によるクッシング症候群の1例.日泌尿会誌 79:1463-1468,1988
6)照井 健,須田俊宏:副腎性Cushing症候群のpreclinical endocrinopathy.ホと臨床 117:45-49,2006
7)佐藤仁彦,松岡直樹,濱口卓也,他:当センターにおける副腎癌の検討.日泌尿会誌 93:208-211,1988
8)池田秀敏:不顕性・顕性Cushing病の疫学と病態―下垂体腫瘍1,000手術例の解析より(第15回日本間脳下垂体腫瘍学会proceding).日本内分泌学会雑誌 81:94-95,2005
9)船橋啓臣:副腎皮質および副腎髄質過形成.内分泌外科 18:86-92,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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