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特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション
8.そのほか 【血尿】
85.健康診断で見つかった顕微鏡的血尿に対してはどこまで検査すべきでしょうか。また,心配のない顕微鏡的血尿を尿沈渣で見分ける方法はあるのでしょうか。
著者: 室田明子1 内田豊昭1
所属機関: 1東海大学付属八王子病院泌尿器科
ページ範囲:P.300 - P.302
文献概要
近年,健康への関心の高まりとともに,健康診断で「尿潜血陽性」と指摘され,精査のために泌尿器科の専門機関を受診する人は増加していると思われる。試験紙法で尿潜血反応(1+)以上と判定される受診者は,男性で3.5%,女性では12.3%にのぼるといわれ1),しかも,その中で治療すべき疾患は,ごくわずかである。日本泌尿器科学会から発表された血尿診断ガイドライン1)によれば,顕微鏡的血尿を指摘された者の中で,腎・尿路疾患は2.3%,尿路悪性腫瘍は約0.5%にすぎない。海外の報告でも,serious urological diseaseが5~22%,悪性疾患は0.5~5%とされている2,3)。膨大な尿潜血陽性受診者から,いかに適切な精密検査を行って,治療すべき疾患を有する患者をすくいあげるかは,医療の効率およびコスト面から考えても非常に重要な問題である。
実際,どこまで精密検査をすべきかは,担当医師の判断,および患者の希望による部分も大きいと思うが,ここでは,2006年に発表された日本泌尿器科学会の血尿診断ガイドライン1)(以下,血尿診断ガイドライン),および,2001年に発表された無症候性顕微鏡的血尿に対するAUAのbest practice policy recommendations2)(以下,AUA recommendation)を主に参考として,私見を交えながら,筆者が普段行っている方針を提示したいと思う。少しでも参考になれば幸いである。
参考文献
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