文献詳細
文献概要
小さな工夫
消化器内視鏡用器具を用いた膀胱異物除去法
著者: 安藤忠助1
所属機関: 1大分県厚生連鶴見病院腎臓外科・泌尿器科
ページ範囲:P.82 - P.83
文献購入ページに移動症例は,不穏時に尿道留置カテーテルを自己切断した73歳の心筋梗塞に対する抗凝固療法中の男性。軟性膀胱鏡にて異物除去を試みたところ,上記の稀な状況であることが判明し,そのままでは除去できない状況であった(図1)。軟性膀胱鏡用の生検鉗子,異物鉗子を用いてバルーン破裂を試みたが,不可能であった。エコーガイド下に恥骨上または会陰部から細い針でバルーンを破裂させた後に経尿道的に摘出する方法を考えたが,患者は心筋梗塞後で安静解除になったばかりで抗凝固療法中であることを考慮すると,経尿道的にバルーンを破裂させ,そのまま摘出することができれば患者の身体的な負担とリスクが少ないと考えられた。そこで,食道静脈瘤硬化療法用穿刺針(針径23G,針長4mm,適用チャネル径2mm,有効長1650mm,オリンパス社製:図2参照)を軟性膀胱鏡のワーキングチャネルより挿入し,直視下にバルーンを破裂させ,そのまま異物鉗子を用いてフォーリーカテーテル先端部を摘出することができた。特にバルーン破裂による膀胱損傷や,カテーテル砕片の発生は認めなかった。
掲載誌情報