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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科63巻10号

2009年09月発行

症例

陰囊内に発生した脱分化型脂肪肉腫

著者: 赤井畑秀則1 馬目雅彦1 宍戸啓一2 小林正人3 熊佳伸1 山口脩2

所属機関: 1公立相馬総合病院泌尿器科 2福島県立医科大学泌尿器科 3公立岩瀬病院泌尿器科

ページ範囲:P.811 - P.815

文献概要

 76歳男性。2007年5月中旬左陰囊腫大を主訴に当科を受診した。左精巣腫瘍の診断にて左高位精巣摘除術を施行した。病理診断は脱分化型脂肪肉腫であった。高悪性度であったが,適切な切除縁により局所の根治性を高めることができた。術後1年10か月経過現在,再発徴候を認めていない。陰囊内脂肪肉腫は稀な疾患であり,術前に精巣腫瘍や鼠径ヘルニアと診断してしまうことが多い。陰囊内脱分化型脂肪肉腫は特に頻度が低く,本邦で11例目である。脱分化型脂肪肉腫は予後不良である。脂肪肉腫の治療法は外科的摘除が第一選択であり,適切な切除縁により局所の根治性を高めることが重要である。リンパ節郭清は意味がないとされている。精索脂肪肉腫は局所再発が多く,遠隔転移は稀である。今後も注意深く経過観察していく必要があると考えられた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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