文献詳細
画像診断
治療後妊娠・出産した膀胱子宮内膜症
著者: 前田高宏12 内田康光1 中島史雄1
所属機関: 1けいゆう病院泌尿器科 2慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.920 - P.923
文献概要
主 訴 月経時の排尿痛と頻尿。
家族歴・既往歴 32歳,34歳,稽留流産。
現病歴 1年ほど前から,月経時に排尿痛を自覚することがたびたびあった。今回,婦人科で施行した腹部MRIで膀胱内に突出する径3cmの子宮との境界が明瞭な腫瘤を認め(図1),2005年12月当科に紹介された。膀胱鏡を行ったところ,膀胱頂部から後壁にかけて,表面が比較的平滑なブドウの房状の隆起性病変を認めたため(図2),精査加療目的で入院することとなった。
入院時検査所見 血算・血液生化学検査に異常はなかった。尿沈渣赤血球50~100/HPF以外,尿検査も異常なかった。尿細胞診は陰性であった。
膀胱鏡所見から壁外性の腫瘍が疑われたために,経尿道的に膀胱腫瘍の生検検査を施行した。結果は,膀胱子宮内膜症の診断であった。患者は妊孕性の保持と早期の妊娠を希望したため,2006年6月膀胱部分切除術ならびに子宮筋腫核出術を施行した(図3,4)。術後は,再発予防のためGnRH agonist製剤の投与を6か月行った。術後9か月目に妊娠反応陽性となり,2008年1月に男児を帝王切開にて出産した。現在,膀胱子宮内膜症の再発はなく,母子ともに健康である。
参考文献
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