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特集 泌尿器科領域の漢方療法―エキスパートに聞く
文献概要
要旨 女性のLUTSの漢方治療では,3つの潜在的原因があると考えて処方を選ぶ。腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱の原因は,骨盤底筋群や骨盤底を構成する靱帯の脆弱化や欠損と考え,補気剤と駆瘀血剤で治療する。過活動膀胱の原因には脳や脊髄などの中枢神経と末しょう臓器・膀胱の老化による機能障害があると考え,補腎剤で治療する。膀胱痛症候群/間質性膀胱炎の原因には膀胱上皮の脆弱性があると考えて,水滞治療薬と冷え治療薬を用いる。女性性機能障害に関しては,性的意欲障害やオルガズム障害には補気剤や理気剤を用い,局所反応障害には補腎剤を用いる。性交疼痛症には,炎症がある場合には黄連含有方剤を,性的未熟がある場合は建中湯類を用いる。
参考文献
1)高山宏世:腹証図解 漢方常用処方解説(新訂22版).東京,三考塾,1997
2)花輪寿彦:漢方診療のレッスン.金原出版,東京,2003
3)荒木性次:新古方薬囊.東京,方術信和会,1972
4)大塚敬節:疝気症候群A型の提唱.日本東洋医学会誌 25:19-23,1974
5)関口由紀,平野弘治:女性性機能障害―FSD9と漢方療法.和漢薬3月号(発行ウチダ和漢薬):p8-9,2005
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