臨床泌尿器科63巻12号

2009年11月発行

症例

真性包茎の包皮先端部に生じたBowen癌

著者： 平井伸幸¹

所属機関： ¹伊勢崎市民病院皮膚科

ページ範囲：P.1009 - P.1012

文献概要

　症例は，95歳，男性。真性包茎。陰茎包皮先端部全周性に一部にびらんを伴う紅色結節あり。生検施行しBowen病と診断。環状切除術の要領で腫瘍切除術を施行。病理組織標本では真皮内への浸潤像がみられ，Bowen癌と診断した。HPV免疫染色は陰性であった。全身検索にて転移像はみられず，経過観察中である。過去10年間の本邦報告例の集計では，外陰部に生じたBowen病は浸潤癌になりやすく，注意が必要と考えられた。

参考文献

1）Bowen JT：Precancerous dermatoses：a study of two cases of chronic atypical epithelial proliferation. J Cutan Dis 30：241-255, 1912

2）三浦　歩，阿部裕子，西田　徹，他：陰囊に生じたBowen病の一例．日皮会誌 110：719，2000

3）新藤季佐，鈴木伸典，朴　順華，他：皮膚腫瘍とヒト乳頭腫ウイルスの関連についての検討（ヒト乳頭腫ウイルスを検出した陰茎部ボーエン病の1例を中心に）．臨床皮膚科 55：527-529，2002

4）加賀谷真起子，高橋博之，兼田達夫，他：陰茎癌の2例．西日皮膚 66：251-254，2004

5）三石　剛：ヒトパピローマウイルス感染症．日医大医会誌 3：170-178，2007

6）照屋　操，上里　博，稲福寿史，他：亀頭冠の尖圭コンジロームにhuman papillomavirus type 6b，亀頭部のボーエン病および陰囊部のボーエン癌にhuman papillomavirus type 33の感染がみられた1例．日皮会誌 109：1613-1619，1999

7）吉田益喜，川田　暁，手塚　正：Human papillomavirus 16型を検出した陰茎部Bowen癌の1例．臨皮 59：72-74，2005

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