文献詳細
書評
「白衣のポケットの中―医師のプロフェッショナリズムを考える」―宮崎 仁,尾藤誠司,大生定義 編 フリーアクセス
著者: 岩﨑榮1
所属機関: 1NPO法人卒後臨床研修評価機構
ページ範囲:P.1039 - P.1039
文献概要
本書を手にしたとき,正直言って『白衣のポケットの中』という表題に,“それって何なの?”と思ったのも事実である。かつて医学概論の論者であり医学教育者でもあった中川米造さんとの白衣論議で,必ずしも白衣に対しては良い思い出がないからでもある。その中川さんは,「古典的にはプロフェッションとよばれる職業は,医師と法律家と聖職者の3つだけであったが,いずれも中身がわからない職業であるうえに,質の悪いサービスを受けると重大な結果を招くおそれのあるものである」といっている。とかくプロフェッショナリズムという言葉からはヒポクラテスにまでさかのぼる医療倫理という堅苦しさをイメージさせたからでもある。だが,そのような読み物となっていないところに本書の特徴がある。読者をして,日常診療の場で身近に起こり得る現実の問題に直面させながら問題解決をしていくプロセスの中で,プロフェッショナリズムを考えさせていくという巧みな執筆手法(むしろ編集といったほうが良いのかもしれない)がとられている。決して難しくもなく,そんなにやさしくもなくプロフェッショナリズムが論じられている。
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