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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科63巻2号

2009年02月発行

文献概要

書評

「緩和ケアエッセンシャルドラッグ」―恒藤 暁,岡本禎晃 著 フリーアクセス

著者: 渡邊正1

所属機関: 1公立学校共済組合東海中央病院

ページ範囲:P.175 - P.175

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 診療中にすぐ参照できるように,手の平に乗るような小型サイズ(B6変)でありながら,緩和ケアに関する専門的・実践的知識がぎっしりと詰まった本書は,私には小さな巨人に譬えることができると思われた。それは本書が,①従来の小型版のほとんどが疼痛コントロールに限られているのに対し,緩和ケアで遭遇する多くの症状が網羅されていること,②著者の長年の経験から得られた臨床上のノウハウが随所に見られ,本書に息を吹き込んでいるばかりでなく,実践的で有用な知識を提供していること,③緩和ケアの本質である全人的ケアの観点が貫かれていること,などの特徴を持っているからと思われる。

 さて,本書は総論として症状マネジメントの原則と概説,各論として緩和ケアで用いられるエッセンシャルドラッグの解説から構成されている。先にタイトルにもなっているエッセンシャルドラッグであるが,世界保健機関(WHO)が国際ホスピス緩和ケア協会(IAHPC)に依頼して作成されたもので,そのリストは2006年の『Palliative Medicine』(Vol20,p647-651)に公表されている。リストの作成に当たっては,緩和ケアで多くみられる症状を特定したあと,デルファイ法を用いて薬剤の効果,安全性,経済性などを検討し,必須薬として33剤を決定している。しかし,薬剤に関する説明はほとんど省略されているため,著者はこれらの必須薬をもとにわが国の実情に即して約50種類の薬剤を厳選した上で,各薬剤の用法,副作用,相互作用などについて詳細な解説を行っている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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