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書評
「プロメテウス解剖学アトラス 頸部/胸部/腹部・骨盤部」―坂井建雄,大谷 修 監訳 フリーアクセス
著者: 青山裕彦1
所属機関: 1広島大学大学院・解剖学
ページ範囲:P.207 - P.207
文献概要
期待に違わず,図は大変わかりやすく構成されている。おそらく初学者でも容易に人体構造を三次元的に理解できることであろう。理解しやすい理由の1つは,何枚もの図が1つの視点から描かれていることである。例えば,胸部を前から見た図は,胸郭前壁を取り除いたところ(心臓はまだ心膜をかぶっている),心膜の前壁を取り去ったところ,心臓と心膜を取り去って肺,食道,大動脈,肺動脈を見せる,ついで肺も取り去って食道,大動脈,迷走神経を見せる,さらに壁側胸膜を取り去って胸郭後壁と大動脈,喉頭と気管を見せる,など合計14枚あるが,これらはすべて同一の角度から眺めたようになっている。コンピューターグラフィックス技術によりまったく同じ図を使い,さまざまな組み合わせで新しい図を作っているのであろうが,みごとに統一されている。図の製作のみに8年を費やしたというのも最もである。その結果,それぞれの図はお互いに,あたかも人体の解剖を再現するようになっている。読者は混乱することなく,図を見比べながら,心臓を取り除いたり戻したりできるのである。
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