文献詳細
特集 イラストレイテッド 膀胱全摘除術と尿路変向術
術前・術中・術後の管理とその対策 (4)術後晩期合併症とその対策
文献概要
要旨:膀胱全摘除術後の尿路変向には,尿管皮膚瘻や腸管を利用した回腸導管,尿禁制型尿路変向術や新膀胱形成術などが行われる。尿管皮膚瘻ではカテーテル留置に伴う腎盂腎炎や結石の形成などがみられ,カテーテルフリーの尿管皮膚瘻も,吻合部狭窄などの合併症に伴う腎盂腎炎が起こりやすい。カテーテルの留置は,細菌感染の温床となり,カテーテルに付着した細菌はバイオフィルムを形成し,慢性感染症の原因となる。カテーテルを留置しない場合にも,尿管の通過障害が発生すると腎盂腎炎の基礎疾患となる。一方,腸管利用尿路変向では,カテーテルの問題はないが,腸管上皮には細菌を付着していることが多く,術後の腎盂腎炎の原因となることがある。回腸導管では10~20%に腎盂腎炎が術後合併症として起こり,その中には敗血症を発生して死亡に至ることもある。尿禁制型の尿路変向術や新膀胱形成術などでは,腔内の圧が高くなること,尿管腸吻合部狭窄や結石形成が起こりやすいことなどにより,さらに腎盂腎炎の頻度が高くなる。腎盂腎炎を繰り返すことにより,腎機能障害を発生することも稀ではなく,その予防が必要であり,腎盂腎炎を防止するための術式の工夫も行わなければならない。
参考文献
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