臨床泌尿器科63巻5号

2009年04月発行

特集 泌尿器科の癌薬物療法―ここが聞きたい

緩和医療―緩和医療における鎮痛薬・睡眠薬の使い分けをどのようにすべきか？

著者： 野口満¹

所属機関： ¹長崎大学医学部歯学部附属病院泌尿器科

ページ範囲：P.359 - P.363

文献概要

要旨　癌患者の多くは不眠を呈しており，緩和医療においては疼痛コントロールのみならず不眠のコントロールも欠かすことはできない。緩和医療での不眠治療にあたっては，患者の不眠の原因と睡眠パターンを把握し治療を行うこととなる。除痛が不十分であれば，鎮静剤による治療の除痛ラダーのステップアップでまず対処する。疼痛コントロールができていても，不眠であれば睡眠薬を用いた治療を開始する。患者の睡眠パターンと患者の状態を把握し，半減期の短い超短時間型，筋弛緩作用が少ない睡眠薬から投与開始する。効果が不十分であれば睡眠薬を変更し，患者の残された時間を有効なものにしなければならない。

参考文献

1）Beszierczey A and Lipowaski Z：Insomnia in cancer patients. CMAJ 116：355, 1977

2）Sateia M and silberfarb P：Sleep in palliative care. In：Oxford Textbook of Palliative Medicine. edited by Doyle D, Hanks G and Macdonald N. Oxford University Press, New York, pp472-486, 1996

3）山下元康：不眠．看護技術 48：1433-1436，2002

4）野口　満：腫瘍（外来化学療法）―癌性疼痛．臨泌 62：227-232，2008

5）小森賢一：緩和医療での睡眠薬の使い方．Physicians Therapy Manual 9，2004

6）大西秀樹：がん患者における睡眠薬の使い方．Physicians Therapy Manual 9，2002