icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科63巻8号

2009年07月発行

書評

「そこが知りたい C型肝炎のベスト治療―インターフェロンを中心に」―銭谷幹男,八橋 弘,柴田 実 編 フリーアクセス

著者: 林紀夫1

所属機関: 1大阪大学大学院・消化器内科学

ページ範囲:P.618 - P.618

文献概要

 わが国には,約200万人のC型肝炎ウイルスキャリアが存在すると推定されており,2008年4月よりC型肝炎治療に対する医療費の公的助成制度も始まるなど,国家レベルでの対策が進められている。C型肝炎治療は,インターフェロン単独治療からリバビリンの併用,ペグインターフェロンの開発を経て,ペグインターフェロン・リバビリン併用療法が標準治療法となり,HCV排除率は,難治例といわれる1型高ウイルス量で約50%,それ以外では約80%と,C型肝炎全体では6~7割の症例で治癒が得られるようになった。同療法の保険収載の後,多くの症例のデータが蓄積され,治療効果や合併症などについて一応の見解が得られたと考えられる現在,その治療に携わるわれわれ医療者には,新しい治療法を十分に理解するだけでなく,個々の症例への治療適応を判断し,適切な治療を行うことが求められる。

 今回,医学書院より,銭谷幹男先生,八橋弘先生,柴田実先生の編集による新刊書『そこが知りたい C型肝炎のベスト治療』が刊行された。本書は肝疾患治療のエキスパートの先生方により執筆され,肝疾患患者を診療するうえで必要かつ十分な情報が提供されている。内容としては,C型肝炎の臨床病態と検査方法,治療法の概説だけではなく,個々の症例への治療対応などが詳しく取り上げられているなど,日常診療において臨床医が患者と対面した場合に十分に対応できるように解説されており,研修医,レジデントにとどまらず,実地医科,消化器内科専門医の先生方にも,十分参考にしていただける本に仕上がっている。本書が,C型肝炎治療に携わる多くの先生方の診療の一助となり,多くの肝疾患患者が最適の治療を受け,肝疾患の治癒へ,ひいては肝癌撲滅へつながることを祈念する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら