icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科63巻8号

2009年07月発行

小さな工夫

ビブラ鉗子による前立腺全摘除術における深陰茎背静脈の結紮

著者: 植田健1

所属機関: 1千葉県がんセンター泌尿器科

ページ範囲:P.646 - P.647

文献概要

 前立腺全摘除術(radical prostatectomy:RP)における深陰茎背静脈(deep dorsal vein complex:DVC)の運針による結紮を確実に行うためにビブラ鉗子を考案したので報告する。

 Walshら1)によって詳細に前立腺の解剖の検討が行われた結果,RPが広く行われるようになった。しかしこの手術の最も重要な点は,DVCの結紮と思われる。DVCの結紮は難易度が高いうえに,症例により結紮が不十分であると尿道を露出する際にDVC断端から大量の出血を招く。さらに,DVC周囲への不用意な止血操作は,場合により重篤な尿失禁を招くことが考えられる。DVCの結紮に,マクドゥガル鉗子やバンチング鉗子などの手術鉗子が考案されて広く利用されている。マクドゥガル鉗子はDVCと尿道の間を貫通し,DVCを結紮する方法であるが,盲目的操作ゆえ鉗子がDVCを誤って直接貫通し出血を招くこともある。バンチング鉗子は,前立腺のDVCを集束し,鉗子の直下を針糸で運針し,結紮する。しかし,この鉗子によるDVCへの運針は習熟が必要であり,針でDVCを裂くことによる出血を招くこともある。経験によらず安全にDVCに行うには,DVCを集束してDVCと尿道の間に確実に針糸による運針を行うことが必要と思われる。

参考文献

1)Reiner WG and Walsh PC:Anatomical approach to the surgical management of the dorsal vein and Santorini's plexus during radical retropubic surgery. J Urol 121:198-200, 1979

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら