文献詳細
画像診断
文献概要
患 者 23歳,女性。
主 訴 無症候性肉眼的血尿。
既往歴・家族歴 特記すべきことなし。
現病歴 上記主訴にて,2003年2月に初診した。特に誘因はなく,血尿以外の症状は認めなかった。
検査所見 身長165cm,体重50kg。身体的奇形を認めず,血液検査値は正常範囲内で,貧血も認めなかった。尿細胞診は陰性であった。膀胱鏡検査では膀胱内に病変を認めず,左尿管口からの出血を認めた。
画像所見 DIPでは,尿路に明らかな異常を認めなかった(図1)。腹部CTでは,正常の下大静脈のほかに,左腎静脈に流入する左下大静脈を認めた。左腎静脈の径は腹部大動脈より大きく,左下大静脈合流後の左腎静脈前後径は,その腎臓側と比べて半分以下であった。左右の下大静脈下端部をつなぐ吻合枝(腸骨間静脈)は認めなかった。(図2~4)
臨床経過 以上より,重複下大静脈に起因した,左腎静脈内圧上昇による血尿と判断し,経過観察とした。その後のフォロー目的での経過観察のCTでも著変を認めない。妊娠・出産時に症状の増悪も認めず,初診後6年経過した現在,顕微鏡的血尿は認めるものの,肉眼的血尿はほとんど認めていない。
主 訴 無症候性肉眼的血尿。
既往歴・家族歴 特記すべきことなし。
現病歴 上記主訴にて,2003年2月に初診した。特に誘因はなく,血尿以外の症状は認めなかった。
検査所見 身長165cm,体重50kg。身体的奇形を認めず,血液検査値は正常範囲内で,貧血も認めなかった。尿細胞診は陰性であった。膀胱鏡検査では膀胱内に病変を認めず,左尿管口からの出血を認めた。
画像所見 DIPでは,尿路に明らかな異常を認めなかった(図1)。腹部CTでは,正常の下大静脈のほかに,左腎静脈に流入する左下大静脈を認めた。左腎静脈の径は腹部大動脈より大きく,左下大静脈合流後の左腎静脈前後径は,その腎臓側と比べて半分以下であった。左右の下大静脈下端部をつなぐ吻合枝(腸骨間静脈)は認めなかった。(図2~4)
臨床経過 以上より,重複下大静脈に起因した,左腎静脈内圧上昇による血尿と判断し,経過観察とした。その後のフォロー目的での経過観察のCTでも著変を認めない。妊娠・出産時に症状の増悪も認めず,初診後6年経過した現在,顕微鏡的血尿は認めるものの,肉眼的血尿はほとんど認めていない。
参考文献
1)太田博俊:先天性心・大血管系疾患 重複下大静脈.日本臨床別冊 循環器症候群 4:100-103,2008
2)McClure CFW and Butler EG:The development of the vena cava inferior in man. Am J Anat 35:331-383, 1925
3)Morita S, Higuchi M, Saito N, et al:Pelvic venous variations in patients with congenital inferior vena cava anomalies:classification with computed tomography. Acta Radiol 48:974-979, 2007
4)Kami K and Morishita T:An autopsy case of double inferior vena cava accompanied by atypical lateral branches of abdominal aorta. Okajimas Folia Anat Jpn 59:387-403, 1983
5)川畠尚志,伏谷俊作,下荒磯裕,他:血尿を契機に発見された重複下大静脈の1例.西日泌尿 68:126-129,2006
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