臨床泌尿器科64巻11号

2010年10月発行

症例

メタロβ-ラクタマーゼ産生緑膿菌感染による腎盂腎炎

著者： 酒本護¹ 明石拓也¹ 石川成明¹ 長瀬典子² 瀧康則² 遠山一喜²

所属機関： ¹高岡市民病院泌尿器科 ²高岡市民病院麻酔科・集中治療科

ページ範囲：P.841 - P.843

文献概要

65歳，男性。左下腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した。CT検査，血液検査，検尿にて左尿管結石およびこれに伴う左水腎症性腎盂腎炎と診断した。培養検査にて，中間尿，左腎盂内尿，および動脈血からメタロβ-ラクタマーゼ産生緑膿菌を検出した。左経皮的腎瘻造設術を契機に敗血症性ショック，急性呼吸促迫症候群をきたした。しかし，エンドトキシン吸着療法，人工呼吸器管理，体外衝撃波結石破砕術などの集学的治療により救命し，左尿管結石も治癒できた。

参考文献

1）後藤直正：多剤耐性緑膿菌の耐性メカニズム．呼吸器科 12：89-94，2007

：epidemiology, microbiology, andclinical outcomes. Antimicrob Agents Chemother 50：388-390, 2006

3）二本柳伸，平田泰良，赤星　透，他：X線撮影による伝播と推測した多剤耐性緑膿菌の院内感染事例．感染症誌 80：97-102，2006

4）金山明子，雑賀　威，伊与田貴子，他：血液およびその他の臨床材料から分離された緑膿菌の薬剤感受性（2005年～2006年）．日化療会誌 57：26-31，2009

5）小路久敬：エンドトキシン吸着カラムの基本設計と性能，エンドトキシン吸着療法．In：基礎と臨床．edited by小玉正智．自然科学社，東京，pp9-18，2000