臨床泌尿器科64巻4号

2010年04月発行

特集 泌尿器科検査のここがポイント

G　X線検査 精管精囊造影

Q47　精管精囊造影の適応，方法，基本的読影法について教えてください。最近この検査を施行されることが減っていますが，なぜですか。

著者： 永尾光一¹ 中島耕一¹ 田井俊宏¹ 小林秀行¹ 原啓¹ 三浦一陽¹ 石井延久¹

所属機関： ¹東邦大学医学部泌尿器科

ページ範囲：P.180 - P.183

文献概要

要旨　精管欠損を除く閉塞性無精子症に対しては，精路再建手術が第1選択である。精管精囊造影は，精巣上体管を除く精路閉塞部位を確定するために行われるが，同時に精管内溶液の精子の有無も検査する。精管精囊造影が不注意に行われたなら，精管狭窄や精管閉塞の原因になり，精路再建手術を難しくする。最近この検査が減っている理由には，経直腸的超音波検査の普及，鼠径ヘルニア手術による医原性の精管閉塞の減少の可能性，妻の高齢化，産婦人科医の適切なインフォームド・コンセントの不足，男性患者が入院治療を避ける，などが考えられる。

参考文献

1）Poore RE, Schneider A, DeFranzo AJ, et al：Comparison of puncture versus vasotomy techniques for vasography in an animal model. J Urol 158：464-466, 1997

2）Wood BL, Doncel GF, Reddy PR, et al：Effect of diltiazem and methylene blue on human sperm motility, viability and cervical mucus penetration：potential use as vas irrigants at the time of vasectomy. Contraception 67：241-245, 2003

3）藤本征一郎：平成10年度診療研究に関する倫理委員会報告（平成9年度分の体外受精・胚移植等の臨床実施成積および平成11年3月における登録施設名）．日産婦誌 51：361-367，1999

4）松田公志，岩本晃明，伊藤直樹，他：閉塞性無精子症に対する精路再建術の成績―全国多施設での調査報告．日不妊会誌 45：143-149，2000