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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科64巻5号

2010年04月発行

文献概要

画像診断

慢性腎不全患者においてPET/CT検査を契機に発見された膀胱癌

著者: 加藤廉平1 常盤傑1 小原航1

所属機関: 1岩手医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.345 - P.348

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 患 者 60歳,男性。

 主 訴 胸部腫瘤精査。

 既往歴 30歳代から糖尿病に対しインスリン加療中。50歳から高血圧,閉塞性動脈硬化症に対し内服加療中。56歳で糖尿病性腎症による慢性腎不全のため血液透析導入。

 現病歴 2008年12月,血液透析中の定期胸部X線検査で多発性肺結節影を指摘され,原発巣精査のため[18F]fluorodeoxyglucose positoron emission tomography(FDG-PET)(Biograph6®:SIEMENS社)を施行した。膀胱,肺に集積を認め,膀胱癌肺転移が疑われた(図1)。精査加療目的に同年4月当科紹介となった。当科入院後の胸部CTで,肺門部の腫瘤陰影(図2)と両肺野の多発性結節影を認めた(図3)。その他,傍大動脈領域および骨盤内リンパ節腫大や腹水は認めなかった。骨盤部MRIでは膀胱壁の不規則な壁肥厚,T2強調像で腫瘍基底部に膀胱筋層断裂像を認めた(図4)。膀胱鏡検査で膀胱内に多発する広基性乳頭状腫瘍を認めた。生検病理結果はurotherial carcinoma,G3であった。膀胱癌多発性肺転移(T3a N0M1,stage Ⅳ)と診断し,現在,全身化学療法(gemcitabin+carboplatin)施行中である。

参考文献

1)Minamimoto R, Takahashi N and Inoue T:FDG-PET of patients with suspected renal failure:standardized uptake values in normal tissues:Ann Nucl Med 21:217-222, 2007
2)小澤望美,岡村光英,阿部 誠,他:FDG-PETにより検出した透析患者腎癌の1例.核医学 43:374,2006
3)Anjos DA, Etchebehere ECSC, Ramos CD, et al:18F-FDG PET/CT delayed images after diuretic for restaging invasive bladder cancer:J Nuc Med 48:764-770, 2007
4)田中基幹,平尾周也,平尾佳彦:核医学診断法―ポジトロンCT(PET):臨泌 60:248-253,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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