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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科64巻7号

2010年06月発行

文献概要

小さな工夫

腎部分阻血に用いる金属鉗子の有用性

著者: 勝岡洋治1 小山耕平1

所属機関: 1大阪医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.516 - P.517

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はじめに

 小径腎癌に対しては,すでに腎部分切除術が標準的治療として国内外のガイドラインで強く推奨されている。腎部分切除は,術後の慢性腎臓病(CKD)を予防することにより非心臓死を減少させる可能性があり,そのうえ,根治的腎全摘術と変わらない癌制御が得られることが報告されている1)。ところが実際には,一部の施設を除いては腎部分切除術が広く行われていないのが現状である。その原因は,腎部分切除術の優位性を示す科学的根拠がいまだ十分でないとの一般論に支配されているからではないように思える。むしろ,私たち医療者側の姿勢に帰属する点が大きく,皮肉にも非科学的な理由が挙げられる2)。特に,術中出血に対する処置の煩わしさや,後出血・尿瘻形成など術後合併症へ強い危惧があるようだ。そこで,確実に止血ができて,短時間で腎杯や腎盂の縫合が可能となり,部分阻血で腎機能を最大限温存し,安全に手術が完遂できる特殊な器具として腎阻血鉗子(勝岡式)を紹介する。

参考文献

1)勝岡洋治:早期腎癌に対する腎部分切除術の普及を妨げているものは何か? 臨泌 62:1009,2008
2)Thompson RH, Boorjian SA, Lohse CM, et al:Radical nephrectomy for pT1 renal masses may be associated with decreased overall survival compared with partial nephrectomy. J Urol 179:468-478, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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