文献詳細
特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅰ 尿路内視鏡手術 ■経尿道的前立腺切除術(TURP)
文献概要
Q 著明な前立腺肥大症を伴っている前立腺癌症例。抗男性ホルモン療法を施行し,PSAは基準値内に減少しているが,尿閉を繰り返している。膀胱留置バルーンには抵抗がある。PSは良好なのでTURPを行いたいと考えている。どんな点に注意して施行すればよいか。
[1]概 説
前立腺癌の外科的治療は,恥骨後式前立腺全摘除術,鏡視下前立腺全摘除術が代表的で,精囊と一塊として前立腺を完全摘除することである。前立腺癌に対するTURPは,前立腺を切除することにより癌細胞が血中に迷入し,転移を起こす可能性が高く,行うべきではないという意見があった。しかし,血中に細胞が着床する率は0.1%以下ともいわれ,前立腺癌でもTURPに対して肯定的な意見もある1)。また,前立腺は,過去の外腺・内腺分類では,内腺から肥大症が発生し,外腺から癌が発生するという大まかな考え方であったが,McNealが提唱する区域分類2)によって,より詳細に分けられ,各区域からの癌発生率も明らかにされている3)。そして,画像診断の進歩はめざましく,特に前立腺に対するMRIでは,増感剤の併用や撮像条件の設定により,癌の診断効率が向上している。
[1]概 説
前立腺癌の外科的治療は,恥骨後式前立腺全摘除術,鏡視下前立腺全摘除術が代表的で,精囊と一塊として前立腺を完全摘除することである。前立腺癌に対するTURPは,前立腺を切除することにより癌細胞が血中に迷入し,転移を起こす可能性が高く,行うべきではないという意見があった。しかし,血中に細胞が着床する率は0.1%以下ともいわれ,前立腺癌でもTURPに対して肯定的な意見もある1)。また,前立腺は,過去の外腺・内腺分類では,内腺から肥大症が発生し,外腺から癌が発生するという大まかな考え方であったが,McNealが提唱する区域分類2)によって,より詳細に分けられ,各区域からの癌発生率も明らかにされている3)。そして,画像診断の進歩はめざましく,特に前立腺に対するMRIでは,増感剤の併用や撮像条件の設定により,癌の診断効率が向上している。
参考文献
1)細井康男:TURP:office urology.泌尿器外科 7:1169-1175,1994
2)McNeal JE:Regional morphology and pathology of the prostate. Am J Clin Pathol 49:347-357, 1968
3)McNeal JE, Redwine E, Freiha M, et al:Zonal distribution of prostate carcinoma:correlation with histologic pattern and direction of spread. Am J Surg Pathol 12:897, 1988
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