臨床泌尿器科65巻4号

2011年04月発行

特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法

Ⅰ　尿路内視鏡手術 ■経尿道的膀胱腫瘍切除術（TURBT）

008　やむを得ず尿管口を切除したがステントを留置すべきか

著者： 志水清紀¹

所属機関： ¹市立豊中病院泌尿器科

ページ範囲：P.35 - P.36

文献概要

Q　TURBTを開始した膀胱癌の症例。術中にやむを得ず尿管口を切除した。この場合，ステントを留置したほうがよいか。


[1]概　説

　経尿道的膀胱腫瘍切除術（以下，TURBT）には，治療としての腫瘍の完全切除という目的と病理診断のための組織採取という目的の2つがある。表在性膀胱癌（Ta，T1）に対しては両者においてその適応がある。一方，T2以上の浸潤性膀胱癌が疑われる場合は膀胱全摘除術が標準治療であるため，診断のための組織採取を目指すべきと考える。前者の表在性膀胱癌の場合，腫瘍の存在部位が尿管口付近であれば，根治を目指すために尿管口を切除しなければならない状況も起こり得る。

参考文献

1）三品睦輝，羽淵友則：術式別にみた術中・術後合併症の管理―経尿道的膀胱腫瘍切除術（TUR-Bt）．臨泌 55（増刊）：48-52，2001

2）Mateos JADT, Gassol JMB, Redorta JP, et al：Vesicoureteral reflux and upper urinary tract transitional cell carcinoma after transurethral resection of recurrent bladder carcinoma. J Urol 138：49-51, 1987

3）青木重之，山田芳彰，本田靖明：尿路内視鏡手術④経尿道的膀胱腫瘍切除術（TURBT）．臨泌 60（増刊）：279-284，2006