文献詳細
特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅰ 尿路内視鏡手術 ■経尿道的尿管砕石術(TUL)
013 尿管が蛇行していてガイドワイヤーが入らない
著者: 岡田真介1 加藤祐司1 山内崇生1 三浦浩康1
所属機関: 1八戸平和病院泌尿器科
ページ範囲:P.48 - P.50
文献概要
[1]概 説
尿管の蛇行は発生学的奇形を除くと,結石の嵌頓,介在部の浮腫による高度の水腎に伴って生じるもの,手術や放射線照射の既往による下部尿管の可動性不良により生じるものがある。尿管結石の嵌頓による尿管の蛇行は上部尿管結石に多く,結石介在部より下部の尿管の蛇行は,尿管鏡での結石介在部の観察を困難とする。
尿管の蛇行によるガイドワイヤーの挿入困難は,結石のimpactionや介在部の浮腫,ポリープ形成,狭窄による結石介在部へのガイドワイヤーの通過困難が原因である。尿管鏡による結石の観察が困難な症例では,蛇行した尿管をいかに直線化するかがTULの成績を左右するといっても過言ではない。
TULにおけるガイドワイヤーの挿入は,多くは尿管鏡を挿入する前に施行される。ガイドワイヤー留置は尿管を直線化し,尿管鏡操作をスムーズにするほか,セーフティーガイドワイヤーとしての役割もはたす。蛇行した尿管においても,留置されたガイドワイヤーを用いることにより尿管を直線化させることができ,有用である。しかし同時に,盲目的挿入は尿管損傷の可能性を伴う操作であることを念頭に置く必要があり,ガイドワイヤーの挿入は決して強引な操作であってはならない。
参考文献
掲載誌情報