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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科65巻4号

2011年04月発行

特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法

Ⅱ 体腔鏡下手術 ■腹腔鏡下副腎手術

025 肝被膜を損傷してしまった

著者: 伊藤明宏1

所属機関: 1東北大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.80 - P.81

文献概要

Q 腹腔鏡下右副腎摘除術を開始した症例。誤って肝被膜を損傷してしまい,出血が止まらない。


[1]概 説

 腹腔鏡下右副腎摘除術において,肝被膜を損傷するおそれがあるのは,経腹膜到達法において以下の操作を行っている場合である1)。①右腎および右副腎前面を覆っている腹膜や大網が肝と癒着している場合に,この癒着を剝離する際に必要以上の張力が及んで被膜を損傷する場合,②上記①の剝離を十分行わずにその次の操作を行ったときに,肝を圧排する鉤や鉗子により過剰な張力がかかって,被膜を損傷してしまう場合,③副腎の最頭側部を肝下面から剝離する際に,副腎と肝との癒着のために剝離困難で肝被膜を損傷してしまう場合(図1),④フック式電気メスを用いて,右腎や右副腎前面の腹膜を切開しているときに,フック式電気メスを牽引しすぎたために,フック式電極の先端が肝表面に接触して被膜を損傷してしまう場合,などである。このようなときに,肝実質からの出血をきたして,止血が困難なことに遭遇する場合がある。

参考文献

1)伊藤明宏,西山博之,伊藤哲之,他:副腎皮質腫瘍.手術 59:969-975,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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