臨床泌尿器科65巻4号

2011年04月発行

特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法

Ⅱ　体腔鏡下手術 ■後腹膜鏡下根治的腎摘除術

036　腹膜を損傷してしまい視野が狭くなった

著者： 佐藤文憲¹ 三股浩光¹

所属機関： ¹大分大学医学部腎泌尿器外科学

ページ範囲：P.108 - P.109

文献概要

Q　後腹膜鏡下根治的腎摘除術を開始した症例。腎周囲を剝離中に腹膜を損傷し，腹腔内に空気が入ってしまった。そのため視野が狭くなり，手術操作が困難となった。


[1]概　説

　後腹膜鏡下手術は，本来，腔として存在しない腎周囲を剝離・展開することによって，十分な操作腔（後腹膜腔）を作成する必要がある。気腹により操作腔を維持するが，腹膜損傷をきたすと気腹ガスが腹腔内に入り，腹膜が術野を圧排し，十分な操作腔の維持が困難となる。通常，腹膜損傷は手術開始時，腎前面の腹膜と腹壁筋膜の付着部を剝離する際に生じることが多い。

参考文献

1）鈴木和雄，牛山知己：後腹膜手術の基本手技．In：Urologic SurgeryシリーズNo. 2泌尿器科腹腔鏡手術．edited by 松田公志．メジカルビュー社，東京，pp24-29，2000

2）Aron M, Chung B and Gill IS：Basics of retroperitoneal laparoscopy. In：Textbook of Laparoscopic Urology. edited by Gill IS. Informa Healthcare, New York, pp119-128, 2010