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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科65巻4号

2011年04月発行

特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法

Ⅱ 体腔鏡下手術 ■後腹膜鏡下根治的腎摘除術

038 脾臓を損傷して,止血できなくなった

著者: 納谷幸男1

所属機関: 1帝京大学ちば総合医療センター泌尿器科

ページ範囲:P.113 - P.114

文献概要

Q 後腹膜鏡下根治的左腎摘除術を開始した腎癌の症例。誤って脾臓を損傷してしまった。圧迫や縫合によっても止血できない。


[1]概 説

 脾臓は非常にもろく,裂けやすい臓器である。

 経腹膜的到達法では,十分に脱転せずに,腎を下方に牽引すると,脾臓にテンションがかかり,脾臓を損傷することがある。後腹膜到達法では,腹膜が介在するため,脾臓を損傷することは稀であるが,あり得ない話ではない。まず,腹膜を損傷しないことと,十分に腎の前面と腹膜の間を展開し,上極の剝離するラインを認識することが,損傷を起こさないために最も大切である。実際に脾臓を損傷した場合,その温存は困難なことが多い。これは,腹腔鏡手術におけるデータではないが,メイヨークリニックにおける13,897例の結腸切除術において,脾臓損傷は59例(0.42%)に起きている。そのうち45例,76%は脾臓摘出に至っている。また,脾臓の釘による貫通損傷において,腹腔鏡下に釘を抜き,凝固で止血し得たケースは症例報告のレベルであることより,脾臓を損傷し,凝固や,サージセルなどで止血し得ない場合は,躊躇せずに脾臓摘出を考慮すべきである。

参考文献

1)Holubar SD, Wang JK, Wolff BG, et al:Splenic salvage after intraoperative splenic injury during colectomy. Arch Surg 144:1040-1045, 2009
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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