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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科65巻4号

2011年04月発行

特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法

Ⅱ 体腔鏡下手術 ■後腹膜鏡下腎尿管全摘除術

039 腎動静脈を切断したら腎がうっ血腫脹してきた

著者: 納谷幸男1

所属機関: 1帝京大学ちば総合医療センター泌尿器科

ページ範囲:P.115 - P.116

文献概要

Q 後腹膜鏡下腎尿管全摘術を開始した症例。術前のCTでは腎動静脈は各1本であった。腎動脈をヘモロックで切断後,腎静脈をエンドGIAで切断したところ腎がうっ血腫脹してきた。腎の前面,上極はまだ剝離していない。


[1]概 説

 腎静脈がうっ血するのは,まだ流入する腎動脈が残存している場合である。そのようなことが起きないようにするためには,術前に腎血管の評価をしっかりと行うことが重要である。現在のCTは1本のX線を多列の検出器で検出するMD-CT(multidetector CT)であり,従来のヘリカルCTに比べ分解能が高く,一度に多くの画像を得ることができるため,造影剤を使用した場合に特に有用であり,それを利用した3D-CT画像にて術前評価を行い,血管に関する情報を得ることが望ましい。Volume renderingによる3D-CTは極めて有用である。

 また,動脈をクリッピングして切離した後,静脈をクリップする前に,メリーランド型鉗子,あるいは開窓型のバイポーラ鉗子などで,静脈を圧迫,あるいはゆるく遮断し,うっ血するかしないか確認するのも1つの方法である(図1)。これでうっ血しなければ,安心してクリップを掛けることが可能である。

参考文献

1)加藤紘行,田辺達三:術中損傷対策(膵,脾)と血管処理の基本.臨泌 47:375-380,1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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