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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科65巻4号

2011年04月発行

特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法

Ⅱ 体腔鏡下手術 ■後腹膜鏡下根治的前立腺摘除術

047 膀胱が大きく開いてしまった

著者: 原勲1

所属機関: 1和歌山県立医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.133 - P.135

文献概要

Q 腹腔鏡下前立腺全摘除術を開始した症例。膀胱と前立腺の剝離をしていたところ,膀胱を大きく開いてしまった(吻合の際に尿管口などが心配である)。


[1]概 説

 前立腺全摘除術において,膀胱頸部の剝離の際に内尿道口が大きく開いてしまうことは比較的よく経験することである。特に前立腺が大きく,中葉突出が著明な際には,ある程度しかたがないと思われる。開腹の前立腺全摘除術で逆行性に摘出する際には,膀胱頸部の切断に際してposterior peel法での剝離が可能なため膀胱頸部の開大を最小限にとどめることは可能だが,腹腔鏡下手術では順行性アプローチなため,中葉に貼り付いた膀胱粘膜を剝離することが困難である。かつて筆者らは突出した中葉と膀胱粘膜を剝離するようにしていたが,仮に剝離できたとしても同部の膀胱は筋層が欠如していて非常に薄くなっているため,膀胱尿道吻合に際して脆弱であり吻合しづらかった。最近では尿管口の位置を確認し,中葉の膀胱粘膜は中葉に付けたまま膀胱頸部の切開ラインを中葉の突出が終わる6時方向に設定し直すようにしている(図1)。膀胱頸部の縫縮自体は開腹の前立腺全摘除術と同様の手技であり,内尿道口6時方向を3-0バイクリルのような吸収糸で結節縫合を行うが,尿管口の位置を確認することが重要である。尿管口が容易に確認できることもあるが,視認しづらい場合にはインジゴカルミン静注により確認を行う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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