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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科65巻4号

2011年04月発行

特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法

Ⅱ 体腔鏡下手術 ■後腹膜鏡下根治的前立腺摘除術

048 両側尿管口を切断してしまった

著者: 伊藤敬一1

所属機関: 1防衛医科大学校医学研究科泌尿器科学講座

ページ範囲:P.136 - P.138

文献概要

Q 後腹膜鏡下根治的前立腺全摘除術を開始した症例。膀胱頸部を切除しすぎて,両側尿管口を切断してしまった。


[1]概 説

 後腹膜鏡下根治的前立腺全摘除術(EERP)における膀胱頸部温存は重要なステップであり,この操作の出来が膀胱尿道吻合の容易さや吻合の質にかかわってくる。膀胱頸部を形よく温存したいが,時として頸部が大きく開放し尿管口が吻合部に近くなることがある。開放手術でも同様の状況がしばしば起こるため容易に想像はつくと思われる。特に,大きい中葉肥大の症例や経尿道的前立腺切除術(TURP)後の症例では,尿管口が近くなりやすいため注意が必要である1,2)。本設問はEERPにおいて両側の尿管口を切断してしまった場合についての対応であるが,体腔鏡下に対処するのは難しい状況であることは否めない。尿管口の損傷の程度が激しければ開放手術に移行すべきである。このため,今回は損傷の程度が軽いものに限定して述べたい。

 この状況の難しい点は,尿管口が膀胱頸部の開放部のエッジに位置するであろうことと,尿管口を切断しているため尿管下端が狭窄する可能性があることである。また,切り込んだ際に凝固操作を行っているかどうかも重要と思われる。術者や腹腔鏡下手術のチームの技量によるが,この状況では開放手術への移行も念頭に置きながら手術を進める必要がある。当施設では尿管口を切断した症例は経験していないが,吻合部に尿管口が近くなった経験は過去に数回ある。本項のテーマはさらに厳しい状況への対処であるが,文献的考察とともに当施設の経験をもとにして述べたい。

参考文献

1)Stolzenburg JU, Rabenalt R, Do M, et al:Complications of endoscopic extraperitoneal radical prostatectomy(EERPE):prevention and management. World J Urol 24:668-675, 2006
2)Patel SR, Kaplon DM and Jarrard D:A technique for the management of a large median Lobe in robot-assisted laparoscopic radical prostatectomy. J Endourol(Epub ahead of print), 2010
3)Rehman J, Chughtai B, Guru K, et al:Management of an enlarged median lobe with ureteral orifices at the margin of bladder neck during robotic-assisted laparoscopic prostatectomy. Can J Urol 16:4490-4494, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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