文献詳細
特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅱ 体腔鏡下手術 ■後腹膜鏡下根治的前立腺摘除術
文献概要
Q 後腹膜鏡下根治的前立腺全摘除術を施行した症例。術後,閉鎖リンパ節郭清を施行した部位にリンパ瘻ができてしまった。
[1]概 説
前立腺癌に対する根治的前立腺全摘除術において,閉鎖リンパ節郭清は基本的な手術のステップである。当施設は後腹膜鏡下根治的前立腺全摘除術(EERP)を標準として行い,基本的に全例に閉鎖リンパ節郭清を行っている。開放手術と同様にEERPでもしばしばリンパ瘻を経験するが,ドレーンが留置されているか否かで状況が異なる。ドレーンが留置されている場合は,ドレーンからのリンパ液の流出がなかなか減少しないという状況となる。この場合は,ドレーンをどのようなタイミングに,どのような方法で抜去するかがポイントである。一方,ドレーン抜去後であればリンパ囊腫を形成するが,囊腫が持続的に増大して症候性となる場合に問題となる。理論的にはリンパ液の流出量が多いため閉鎖空間の圧力に勝って内腔を拡大し,症候性のリンパ囊腫となるものと考えられる。本項では,リンパ瘻が疑われたときの診断,その対処法,手術時に行い得る予防法について,われわれの経験も踏まえて解説したい。
[1]概 説
前立腺癌に対する根治的前立腺全摘除術において,閉鎖リンパ節郭清は基本的な手術のステップである。当施設は後腹膜鏡下根治的前立腺全摘除術(EERP)を標準として行い,基本的に全例に閉鎖リンパ節郭清を行っている。開放手術と同様にEERPでもしばしばリンパ瘻を経験するが,ドレーンが留置されているか否かで状況が異なる。ドレーンが留置されている場合は,ドレーンからのリンパ液の流出がなかなか減少しないという状況となる。この場合は,ドレーンをどのようなタイミングに,どのような方法で抜去するかがポイントである。一方,ドレーン抜去後であればリンパ囊腫を形成するが,囊腫が持続的に増大して症候性となる場合に問題となる。理論的にはリンパ液の流出量が多いため閉鎖空間の圧力に勝って内腔を拡大し,症候性のリンパ囊腫となるものと考えられる。本項では,リンパ瘻が疑われたときの診断,その対処法,手術時に行い得る予防法について,われわれの経験も踏まえて解説したい。
参考文献
1)三上 洋,伊藤敬一,吉井秀彦,他:後腹膜鏡下根治的前立腺全摘除術後に巨大リンパ囊腫を認めた1例.泌尿器科紀要 54:23-27,2008
2)Denbow N:Lymphocele drainage and sclerosis. In:Handbook of International Radiologic Procedures. 3rd ed. edited by Kandapa K and Aruny JE. Williams & Wilkins, Philadelphia, pp377-382, 2002
3)帖佐啓吾,内藤 晃,豊田尚之,他:OK-432による硬化療法が有効であった症候性骨盤内術後リンパ囊腫の1例.Intervent Radiol 19:398-400,2004
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