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特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅱ 体腔鏡下手術 ■腹腔鏡下腎盂形成術
052 術中に尿管ステントが入らない
著者: 小島祥敬1 水野健太郎1 林祐太郎1
所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科腎・泌尿器科学分野
ページ範囲:P.148 - P.150
文献概要
[1]概 説
腎盂尿管移行部通過障害に対して腹腔鏡下腎盂形成術を行う際の尿管ステントの留置は,術直前に逆行性に行う方法と術中に順行性に行う方法の2通りがある。
逆行性で行う利点は,術直前に行えば腎盂尿管移行部の性状が把握できるため手術のデザインがしやすいこととされているが,欠点として,事前に尿管カテーテルが留置されていることにより,腎盂と尿管の縫合操作に支障をきたす可能性があることが挙げられている。一方,順行性に行う利点は,腎盂と尿管の吻合の際に,一側の縫合を行った後に尿管ステントを留置し,対側の縫合を行うため,縫合が比較的容易に行えることである。したがって,筆者らは通常,順行性に尿管ステントを留置する1,2)。しかし,その一方で,本トラブルのように,尿管ステントがうまく入らないことに,非常に稀であるが遭遇することがある。当施設において2005年から2010年までの5年間で48例(成人例21例,小児例27例)の腎盂尿管移行部通過障害に対して腹腔鏡下腎盂形成術を行い,2例(4%)で尿管ステントが挿入できなかった症例を経験した。そのいずれも小児例であった。
参考文献
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