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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科65巻4号

2011年04月発行

特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法

Ⅳ 開腹手術 ■根治的腎摘除術

065 脾臓を損傷してしまい出血が止まらない

著者: 加藤智幸1 冨田善彦1

所属機関: 1山形大学医学部腎泌尿器外科

ページ範囲:P.184 - P.186

文献概要

Q 経腹的に,左側根治的腎摘除術を開始した症例。脾臓を損傷してしまい,出血が止まらない。


[1]概 説

 開腹左腎摘出術の際,膵脾の授動や下行結腸の授動は極めて有用な手術手技である。その際に視野を確保しようとして,脾臓に付着した大網や脾結腸間膜などを無理に牽引すると,脾臓を損傷する可能性がある。脾臓の被膜は薄いため,比較的容易に脾損傷が起こりやすい。損傷が起こると,容易に出血するばかりでなく,止血に難渋することも多い。そのために脾摘を余儀なくされる場合もある。脾損傷を起こさないように慎重な操作を行い,予防策を講じることが最も重要なのはいうまでもないが,損傷が起こってしまった場合には,その状況に応じた対策を講じることが重要である1)

参考文献

1)冨田善彦:腎摘除術―経腹膜的到達法.臨泌 58(増刊):29-38,2004
2)深川剛生,田中則光,藤田 剛,他:脾臓からの出血.手術 62:1391-1394,2008
3)今野弘之,神谷欣志:胃・十二指腸手術.消化器外科 30:417-426,2007
4)Wiseman J, Brown CV, Weng J, et al:Splenectomy for trauma increases the rate of early postoperative infections. Am J Surg 72:947-950, 2006
5)Uranus S, Kronberger L, Kraft-Kine J:Partial splenic resection using the TA-stapler. Am J Surg 168:49-53, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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