文献詳細
特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅳ 開腹手術 ■腎尿管全摘除術
070 尿管引き抜き法を行ったあと血圧が急に下がった
著者: 竹下英毅1 森山真吾1 千葉浩司1 野呂彰1
所属機関: 1さいたま赤十字病院泌尿器科
ページ範囲:P.197 - P.199
文献概要
[1]概 説
上部尿路腫瘍に対する治療として,腎・尿管および尿管口を一塊にして摘出する腎尿管全摘除術が標準的である。しかし,low gradeかつlow stageの腎盂腫瘍や上部尿管腫瘍の場合に,腎摘除と引き抜き法(stripping technique)による尿管摘除とに分割した腎尿管全摘除術が選択されることがある1)。手術時間が短縮でき,また手術創も腎摘のための腰部斜切開のみでよく,尿管摘除のための傍腹直筋切開や下腹部正中切開は不要であり,手術侵襲が軽減できるという利点がある。
1953年にMcDonaldらによって報告され,これまでいくつかの変法が報告されている1)。当科で行っている方法は平川・小島が解説しているものと同一で2),簡単に記述すると,①砕石位にて経尿道的に患側尿管に5Frの硬めの尿管カテーテルを挿入し,尿管口周囲を膀胱周囲脂肪織が見えるまで切開する,②側臥位(腎摘位)として腎を摘出する,この際,病変部位より遠位の尿管を結紮切断する,③尿管断端と尿管カテーテルを3-0絹糸で1~2か所穿通結紮する,④尿道から尿管カテーテルを引き抜き,創から尿管が翻転していくのを確認し,さらに尿道から尿管が尿管口まで完全に摘出されているのを確認する,というものである。(図1)
参考文献
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