文献詳細
特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅳ 開腹手術 ■膀胱の手術
文献概要
Q 経腟的アプローチで膀胱腟瘻の修復術を開始した症例。瘻孔部が骨盤の奥深くにあるため,修復に難渋している。
[1]概 説
膀胱腟瘻は,婦人科手術の後に発生することが大部分である。特に子宮癌手術での腟断端の処置にあたり膀胱壁を損傷したり,縫合糸が膀胱壁に掛かり術後縫合糸膿瘍などを生じた結果,発症することが多い。そのため膀胱側の損傷部位は,膀胱三角部を中心とした膀胱底部になる。瘻孔発生部位は手術時に手をつけた部位であり,修復にあたっては術野の癒着により難渋することが多いとされる。
経腟的または経腹的アプローチの2通りの手術法があり,術者の好みとともに瘻孔発生部位,瘻孔の大きさなどから選択される。一般に経腟的アプローチのほうが経腹的アプローチより手術侵襲が少ないと考えられている。瘻孔の修復手術は発症直後(多くは婦人科手術後数日)にも可能であるが,バルーンカテーテル留置などにより自然閉鎖を期待して時間がかかった場合は,患部の浮腫や炎症が落ち着くまで3~6か月待って実施される。
[1]概 説
膀胱腟瘻は,婦人科手術の後に発生することが大部分である。特に子宮癌手術での腟断端の処置にあたり膀胱壁を損傷したり,縫合糸が膀胱壁に掛かり術後縫合糸膿瘍などを生じた結果,発症することが多い。そのため膀胱側の損傷部位は,膀胱三角部を中心とした膀胱底部になる。瘻孔発生部位は手術時に手をつけた部位であり,修復にあたっては術野の癒着により難渋することが多いとされる。
経腟的または経腹的アプローチの2通りの手術法があり,術者の好みとともに瘻孔発生部位,瘻孔の大きさなどから選択される。一般に経腟的アプローチのほうが経腹的アプローチより手術侵襲が少ないと考えられている。瘻孔の修復手術は発症直後(多くは婦人科手術後数日)にも可能であるが,バルーンカテーテル留置などにより自然閉鎖を期待して時間がかかった場合は,患部の浮腫や炎症が落ち着くまで3~6か月待って実施される。
参考文献
1)Leach GE:Vesicovaginal fistula repair. In:Atlas of Urologic Surgery. 2nd ed. edited by Hinman F Jr. WB Saunders, Philadelphia, pp587-600, 1998
2)野々村祝夫:膀胱腟瘻閉鎖術.In:新Urologic Surgeryシリーズ2―膀胱の手術.edited by中川昌之.メジカルビュー社,東京,pp146-152,2009
掲載誌情報