臨床泌尿器科65巻4号

2011年04月発行

特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法

Ⅳ　開腹手術 ■尿路変向術

087　尿管皮膚瘻をつくりたいが尿管が短くて腹壁に届かない

著者： 沼倉一幸¹ 土谷順彦¹ 羽渕友則¹

所属機関： ¹秋田大学医学部腎泌尿器科

ページ範囲：P.235 - P.237

文献概要

Q　膀胱癌と直腸癌の二重癌の患者で，皮膚瘻造設術を開始した症例。左尿管が短くて，右腹壁に届かない。左腹壁には人工肛門を造設する予定である。どのように尿路変向すればよいか。


[1]概　説

　一般に尿管の長さは30cm前後である。両側尿管皮膚瘻造設術を行う場合，シングルストーマにするため，対側尿管を後腹膜トンネルを通して左右どちらかに持ってくる必要があるが（一般には，将来，人工肛門をつくる可能性を考えて左尿管を右側にもってくることが多い），癌の浸潤や転移，以前の手術による癒着などで下部尿管剝離が困難な場合や，肥満患者などでは，対側尿管がストーマに届くだけの十分な長さを確保できないことがある。

参考文献

1）藤沢正人，山中望：これだけは知っておきたい尿路変向術．ベクトル・コア，東京，pp78-87，2004

2）内藤誠二，松田公志：尿路変向・再建術．メジカルビュー社，東京，p54，2000

3）Hinman F Jr：Atlas of Urosurgical Anatomy. WB Saunders, Philadelphia, p646, 1993

4）鶴崎俊文，竹原浩介：臍部チューブレス両側尿管皮膚瘻術の試み．泌尿紀要 53：789-793，2007

5）Tollefson MK, Blute ML, Farmer SA, et al：Significance of distal ureteral margin at radical cystectomy for urothelial carcinoma. J Urol 183：81-86, 2010