文献詳細
特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅳ 開腹手術 ■尿路変向術
文献概要
Q 膀胱全摘術後に回腸を利用した自排尿型代用膀胱作製を開始した症例。腸間膜の伸展が悪く,尿道への吻合ができない。
[1]概 説
筋層浸潤性膀胱癌などにより膀胱を摘除した場合,尿路変向術が必要となる。自排尿型代用膀胱(新膀胱)は,回腸などを利用して蓄尿のためのパウチを作製し,パウチの一端を尿道に吻合することにより自排尿を可能とする尿路変向法である。ボディーイメージを損なわず生活の質が維持されるため,Studer法1)やHautmann法2)などによる新膀胱を選択する症例は近年増加傾向にある。しかし,作製したパウチが骨盤底に届かず尿道との吻合が困難な症例を稀に経験する。一般的には腸管粘膜と尿道粘膜の親和性は良好であるため,両者のある程度の整合が得られれば創傷治癒に問題はない。しかし,無理に吻合を行って過度の張力がかかると,血流障害や尿漏による線維化により吻合部狭窄が起こる可能性がある。
[1]概 説
筋層浸潤性膀胱癌などにより膀胱を摘除した場合,尿路変向術が必要となる。自排尿型代用膀胱(新膀胱)は,回腸などを利用して蓄尿のためのパウチを作製し,パウチの一端を尿道に吻合することにより自排尿を可能とする尿路変向法である。ボディーイメージを損なわず生活の質が維持されるため,Studer法1)やHautmann法2)などによる新膀胱を選択する症例は近年増加傾向にある。しかし,作製したパウチが骨盤底に届かず尿道との吻合が困難な症例を稀に経験する。一般的には腸管粘膜と尿道粘膜の親和性は良好であるため,両者のある程度の整合が得られれば創傷治癒に問題はない。しかし,無理に吻合を行って過度の張力がかかると,血流障害や尿漏による線維化により吻合部狭窄が起こる可能性がある。
参考文献
1)Jeshke S and Studer UE:Orthotopic urinary diversion using an ileal low-pressure reservoir with an afferent tubular segment. In:Glenn's Urologic Surgery. 7th ed. edited by Graham SD, et al. Lippinccott Williams & Wilkins, Philadelphia, pp561-566, 2010
2)Hautmann RE:Ileal neobladder. In:Glenn's Urologic Surgery. 7th ed. edited by Graham SD, et al. Lippinccott Williams & Wilkins, Philadelphia, pp566-574, 2010
3)藤元博行:自然排尿型尿路変向術Hautmann法.中川昌之(編):新Urologic Surgeryシリーズ6.尿路変向・再建術.メジカルビュー社,東京,pp101-109,2010
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