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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科65巻4号

2011年04月発行

特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法

Ⅳ 開腹手術 ■尿失禁・骨盤臓器脱の手術

093 TVM手術による膀胱損傷に対する到達経路は

著者: 野村昌良1

所属機関: 1亀田メディカルセンター・ウロギネコロジーセンター

ページ範囲:P.251 - P.252

文献概要

Q 婦人科より,「骨盤臓器脱に対してTVM手術中に膀胱損傷を起こした」と修復依頼された症例。損傷部縫合経路は腟側と開腹のどちらがよいかなど,修復方法に迷っている。


[1]概 説

 近年,骨盤臓器脱の低侵襲手術として,ポリプロピレンを使用するtension-free vaginal mesh(TVM)手術が本邦でも普及しつつある。TVM手術は前腟壁剝離に関して,恥骨頸部筋膜を腟壁側に残して行うことが多い。すなわち,恥骨頸部筋膜を膀胱側に残す従来の方法と比べて,膀胱に近い層で剝離を行う。したがって,従来法と比べてもその頻度はやや高くなる可能性がある。TVM手術における膀胱損傷は1~2%と報告されており1),他臓器損傷の中では最も多くみられ,骨盤臓器脱に対するTVM手術は,今後ますます増加することに伴い,このような膀胱損傷は増加することが予想される。したがって,泌尿器科医はこのような対策に習熟する必要がある。基本的にTVM手術の際の膀胱損傷の修復に関しては経腟的操作により行うので,経腟的な操作に習熟することが重要である。

 通常,膀胱損傷は剝離または穿刺のときに起こることが多い。剝離の際に起こる膀胱損傷に関しては,尿流出を認めて気がつくことが多い。穿刺の場合は主に前壁の第一穿刺の際に生じる。血尿により気がつくことが多いが,ほとんど血尿がなく,膀胱鏡のときに気がつくこともある。したがって,TVM手術の際は血尿がなくても膀胱鏡で膀胱内を観察することが望ましい。

参考文献

tech-nique):a case series multicentric study. Int Uro-gynecol J Pelvic Floor Dysfunct 18:743-752, 2007
2)Popovic I, Debodinance P, Cosson M, et al:Prosthetic reinforcements:how to manage bladder injuries? Int Urogynecol J Pelvic Floor Dysfunct 18:1215-1217, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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