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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科65巻4号

2011年04月発行

特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法

Ⅳ 開腹手術 ■陰囊内臓器の手術

113 高位精巣摘除術で結紮糸が緩み出血がみられる

著者: 土屋ふとし1 滝沢明利1 岩崎晧1

所属機関: 1横浜市立みなと赤十字病院泌尿器科

ページ範囲:P.301 - P.302

文献概要

Q 高位精巣摘除術を開始した症例。精索を切断した後,結紮糸が緩んでしまい,出血がみられる。


[1]概 説

 高位精巣摘除術は,悪性腫瘍の血行性転移を防ぐ目的で血管処理を先行させる手術である。血管・精管処理は注意深く行われるべきであり,通常それぞれ別々にペアンまたはモスキート鉗子で把持し,2重に結紮,切断する。

 術中に出血すれば止血をしなければならない。出血は手術の合併症であるが,止血を怠ることにより生じる病態は合併症ではないからである。

 結紮糸が緩んでしまうのは,結紮そのものが不十分であった場合,結紮部位が切除断端に近く内精筋膜表面が平滑であるために糸が逸脱してしまった場合,などが考えられる。

 精索が後腹膜腔に入ってしまった場合,引き出すことは非常に難しい。その際には内鼠径輪の切開が必要になる。

 なによりもまず精索の結紮糸の逸脱が起こらないように,基本に沿った手術をすることが最も重要である。

参考文献

1)Bernard BH, Lerner SP, Kawachi M, et al:Postradical orchiectomy hemorrhage:should an alteration in staging strategy for testicular cancer be considered? Urology 46:408-411, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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