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特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅴ 小児の手術
116 元に戻ったと思われる精巣捻転症に精巣固定術を勧めるべきか
著者: 鯉川弥須宏1 此元竜雄1 古賀紀子1 山口孝則1
所属機関: 1福岡市立こども病院・感染症センター泌尿器科
ページ範囲:P.309 - P.311
文献概要
[1]概 説
精巣捻転症は,理論的にどの年代でも起こり得る疾患であると考えられるが,臨床的にはほとんどが思春期と新生児期である。特に思春期に発生する精巣捻転症は鞘膜内捻転で,精巣と腹膜鞘状突起の構造的付着異常に起因した,精巣と陰囊の異常固定性に基づくといわれ,実際にこのような精巣は陰囊内鞘状突起内でぶら下がるように水平に位置している(bell clapper deformity)。解剖体における研究では男性の約12%にも認められ,しかも,それはしばしば両側性であったと報告されている1)。一方,新生児期に発症する精巣捻転症は,鞘膜外捻転で全体の約10%とされ,その70%はすでに出生前に起こっていて出生時に発見されるといわれている。しかも,それらの精巣は明らかに正常の精巣に生じているといわれ2),発生原因は前者とは異なる。質問の症例は思春期に起こった鞘膜内捻転と考えられるため,以下その対応を論じてみたい。
参考文献
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