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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科65巻4号

2011年04月発行

特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法

Ⅴ 小児の手術

118 尿道下裂形成術後に尿道皮膚瘻ができた

著者: 鯉川弥須宏1 此元竜雄1 古賀紀子1 山口孝則1

所属機関: 1福岡市立こども病院・感染症センター泌尿器科

ページ範囲:P.317 - P.319

文献概要

Q 尿道下裂形成術を施行した症例。術後,尿道皮膚瘻を形成してしまった。


[1]概 説

 尿道下裂形成術時に形成される尿道の長さは,当然のことながら尿道下裂の程度によって左右され,一般的に尿道皮膚瘻の発生頻度は,形成した尿道の長さに比例して増加する。原因は種々考えられるが,残念ながら尿道皮膚瘻の発生要因は,いかなる尿道形成術式を選択したかを含め,術中尿道形成のデザインや縫合技術などによる術者の手術感覚と技量,経験によるところが最も大きいと考えている。筆者も尿道下裂形成術開始から数年は,熟練した上司に支えられながら手術を施行したにもかかわらず,尿道皮膚瘻をはじめとした種々の合併症を経験した。幸い数年後からは安定した成績となり,大きな合併症は発生させることなく,現在は年間30例前後の新鮮例の尿道下裂形成術を術者として経験している1)。しかし,それでも年に数例は尿道皮膚瘻を形成してしまう現状ではあるし,欧米の報告でも尿道皮膚瘻防止のためにいろいろな工夫が講じられている2)。残念ながらいったん形成された尿道皮膚瘻は,小さければ自然に閉鎖する可能性があるとの報告もあるが,われわれの経験ではほとんど自然閉鎖はなく,皮膚瘻は外尿道口よりも近位のため,少しずつ瘻孔は大きくなり,それより遠位の尿道は狭くなってしまう場合が多い。したがって,われわれは尿道下裂形成術の影響がほぼなくなったと考えられる術後半年から1年の時点で,しっかりとした尿道皮膚瘻閉鎖術を予定している。

参考文献

1)鯉川弥須宏,山口孝則,此元竜雄,他:近位尿道下裂の治療―Yoke(modified Koyanagi)尿道下裂形成術.西日泌尿 70:192-197,2008
2)Snodgrass WT and Lorenzo A:A tubularized incised-plate urethroplasty for proximal hypospadias. BJU Int 89:90, 2002
3)Lapointe SP, N-Fekete C and Lortat-Jacob S:Early closure of fistula after hypospadias surgery using N-butyl cyano-acrylate:preliminary results. J Uro 168:1751, 2002
4)Denis MA and Walker RD 3rd:The repair of urethral fistulas occurring after hypospadias repair. J Urol 128:1004, 1982
5)Santangelo K, Rushton HG and Belman AB:Outcome analysis of simple and complex urethrocutaneous fistula closure using a de-epithelialized or full thickness skin advancement flap for coverage. J Urol 170:1589, 2003
6)Shanker KR, Losty PD, Hopper M, et al:Outcome of hypospadias fistula repair. BJU Int 89:103, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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