文献詳細
書評
「標準外科学 第12版」―北島政樹 監修/加藤治文,畠山勝義,北野正剛 編 フリーアクセス
著者: 篠原尚1
所属機関: 1兵庫県立尼崎病院消化器外科
ページ範囲:P.336 - P.336
文献概要
さて,このたび改訂された第12版。一段とハンディになった印象で,さてはこちらもゆとり教育で内容が削られたかと心配したが,頁数はほとんど変わっていない。白基調のすっきりした表紙と,使われている上質紙のためだろう。頁をめくると,大きめの文字でいかにも読みやすそうな記述が目に飛び込んできた。繰り返し読むことの多い教科書にとっては,内容はもちろん,「思わず次の頁をめくりたくなるような読みやすさかどうか」ということも重要である。章のタイトルデザインや余白・図版の配置,フォントの統一感などが旧版より洗練され,成功しているようだ。また,従来の教科書は文章の記述が中心で,ともすれば“退屈”な印象が否めなかったが,本版ではその常識を覆すかのように重要な部分が色文字やアンダーラインで強調され,しかも覚えるべきポイントが箇条書きされた「Note」欄が随所に散りばめられている。例えば食道癌の「Note」では病因や疫学,病期分類,転移経路,診断,治療がわずか15行に凝集されている。これで知識を整理した後,本文に戻り再読すれば,より理解が深まるだろう。さらに余白に書き込んでいけばオリジナルの立派なサブノートが完成する。外科学の勉強はそれで十分だろう。
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