文献詳細
書評
「臨床推論ダイアローグ」―杉本元信 編/瓜田純久,中西員茂,島田長人,徳田安春 編集協力 フリーアクセス
著者: 林純1
所属機関: 1九州大学病院総合診療科
ページ範囲:P.463 - P.463
文献概要
この本で工夫がみられるのはなんと言っても,dialogueの内容です。すなわち症例によっては,上述した内容以外に,症状からの鑑別方法,身体所見の取り方,緊急検査の必要性や検査方法の選択,初期対応などの基礎的なものから,画像を含む検査所見の見方,細胞外液と細胞内液などの病態生理に対する考え方,あるいはすでに投与されている薬剤(漢方薬を含む)に対する考察,治療の問題点などの応用・発展的なものまでを含めてdiscussionのポイントとしています。さらに,「診断エラー」は思い込みなどの6つのバイアスがあることが取り上げられており,筆者にとっても過去の反省を含めて参考になりました。この本の素晴らしさは,これにとどまらず,31のMonologueが用意され,その症例に関連した知識を拡大し,深みが増すように工夫されていることです。実際に読んでみると,指導医が研修医に教えている内容も素晴らしく,1つの症例からたくさんのことが学べるのだということを,改めて教えられた気がします。
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