文献詳細
書評
文献概要
私が初期研修を行った武蔵野赤十字病院の救急外来には1冊のノートが置かれていた。そこには研修医たちがおのおのの救急外来当直で経験したちょっとした診療のコツや,変わった風貌の患者さんのこと,そして信頼できる仲間にだからいえる失敗談などが赤裸々に書いてあった。もちろん,そのころから「○○マニュアル」と呼ばれる救急外来で用いるツールはあったが,正直どれも「理想的な検査や治療」が書かれているものが多く,いつのまにか白衣のポケットの中で擦り切れていたのを覚えている。やはり,現場で最も使えるのは同じ仲間・同じ悩みを持った人たちが書いている診療のポイント集であり,つまずきやすい場所もあえて記載してあるのが,妙に親近感がわくのである。
本書を初めて手にしたとき,あのときのノートの印象がよみがえった。
本書を初めて手にしたとき,あのときのノートの印象がよみがえった。
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