文献詳細
書評
「レジデントのための腎臓病診療マニュアル 第2版」―深川雅史,吉田裕明,安田 隆 編 フリーアクセス
著者: 平方秀樹1
所属機関: 1福岡赤十字病院
ページ範囲:P.845 - P.845
文献概要
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の概念が提唱されて10年が経過し,わが国でも広く定着してきた。すなわち,CKDの管理は,慢性腎不全の進行を遅らせて透析導入・腎移植を防ぐことだけでなく,高率に併発する心血管イベントのリスクを軽減することも目標となる。これまで以上に早い時期からCKDに気付き,腎障害だけでなく心血管合併症にも対応してゆくことが重要で,このことが腎臓専門医だけでなく,非専門医や一般の方々に広く啓発されてきた。近年,KDIGO(kidney disease:improving global outcomes)は,これまでの分類にタンパク尿(アルブミン尿)の程度を組み入れ,ステージ3を3aと3bに分け,より精密な分類とし,さらには,CKDの原因疾患をも考慮して対処するように改訂した。このKDIGOによる新分類は,CKDの意義の啓発という第一段階を経て,より確実な治療介入を要求する次の段階に進んだことを意味している。このことが本改訂版で強調されている。
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