icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科66巻13号

2012年12月発行

書評

「がんサバイバー―医学・心理・社会的アプローチでがん治療を結いなおす」―Kenneth D. Miller 原書編集/勝俣範之 監訳/金 容壱,大山万容 訳 フリーアクセス

著者: 田村和夫1

所属機関: 1福岡大学/腫瘍・血液・感染症内科学

ページ範囲:P.1032 - P.1032

文献概要

 がんサバイバー,日本ではまだ聞き慣れない言葉である。本書では,このなじみのない言葉を明確に定義し,その概念を記述するにとどまらず,心身の急性期・晩期障害を詳細に記載している。そればかりか,医療の現場では語られない,むしろ避けて通ってきた性や子育て,家族・介護者の問題を正面から取り上げている。編者のMiller医師自身,がんサバイバーの妻を持ち,自らの体験が本書に取り上げたがんサバイバーの問題や課題をリアルなものにしている。また,本書の意を伝えるため,わかりやすく日本語訳された金 容壱,大山万容両氏ならびに監訳者である勝俣範之氏に敬意を表したい。

 本書は,がんと診断されたすべてのステージの患者,すなわちがんと診断されて治療を受けている患者ばかりでなく,治療終了者ならびに患者家族や介護者をすべて包含して話を進めている。日本では毎年70万人を超える人ががんに罹患し,35万人ががんによって死亡している。単純に計算すれば,毎年35万人のがんサバイバーが出現することになる。もちろん複数のがんを持っている例や他の疾患で亡くなる患者もいるので,この数がそのまま実数にはならないが,それぞれの患者に家族や介護者がいるわけで,それにしても想像を絶するがんサバイバー数となる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら