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交見室
わが国の第1号膀胱鏡に関する疑問(2)
著者: 三木誠1
所属機関: 1東京医科大学
ページ範囲:P.263 - P.264
文献購入ページに移動その後改めて坂口勇先生の1919年(大正8年)4月の日本泌尿器病学会総会発表抄録(日本泌尿器病学会雑誌8:95-96,1919),武井勝氏の「国産膀胱鏡の生まれるまで」(医科器械雑誌15:269-276,1938)を読むと,坂口先生が桑原氏(武井氏を坂口先生に紹介した同業者)に命じて製造改良した第1回の製品として,6本の使用可能な膀胱鏡(国産第1号,武井製であることは上記文献より明らか)を入手したとしてこれを報告している。これは輸尿管膀胱鏡(シースとスコープは別)を参考にしたもので,検査用より3cm長く太さは18Fで,視野の大きさが大小不均一であったと記されている。また坂口先生が,次回分として製作しつつあるものはすべてニッツェ式にして,3cm短くF20の太さで視野を大きく明るくし,それに成功すれば漸次手術用膀胱鏡などへと発展させ,それらを発売するには膀胱鏡に番号と検定済證,使用説明書をつけることを提案している。これらのことから,坂口先生が1919年国産最初の膀胱鏡として学会に報告した膀胱鏡と,その後先生が検定して番号を付けた最初の膀胱鏡(以下検定第1号)は違うことになり,小生が単に「第1号膀胱鏡」と表現したことが多少問題であることがわかった。すなわち,69号を見た時点で国産第1号は検定第1号と同じであろうと勝手に判断したことは間違いであった。現時点では国産第1号と検定第1号では長さ太さが違うことは明らかであるが,接眼漏斗部の形などは推論するしかなく,さらに明確な結論を出すべく今後努力するしかない。
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