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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科66巻4号

2012年04月発行

文献概要

特集 泌尿器科ベッドサイドマニュアル Ⅴ 全身合併症を有する患者の管理

054 脳血管障害の既往を有する患者の管理

著者: 亭島淳1

所属機関: 1広島大学大学院医歯薬学総合研究科腎泌尿器科学

ページ範囲:P.300 - P.303

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[1]はじめに

 脳血管障害は,脳を栄養する頭蓋内の血管の異常を原因とし,出血による圧排,浮腫や炎症,もしくは虚血による脳組織の障害をきたす疾患の総称である。脳血管障害が原因となり,急激な意識障害や中枢神経の障害をきたすものが脳卒中である。その危険因子としては,心疾患,高血圧,高脂血症,糖尿病,肥満,喫煙,多量の飲酒や,これらに起因する動脈硬化が挙げられる。つまり,脳血管障害の既往を有する患者では,これらの基礎疾患が併存することが多く,周術期管理において十分な注意を要する。本邦における脳血管障害の有病率は高く,高齢者に対して多くの手術を行う泌尿器科においては,手術適応症例に脳血管障害の既往が存在する頻度は増加するものと思われる。本項では脳血管障害の既往を有する患者の周術期管理の注意点について述べる。

参考文献

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11)後藤倶子:術後脳障害と予防.臨床麻酔 29(臨増):414-424,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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