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特集 泌尿器科ベッドサイドマニュアル Ⅴ 全身合併症を有する患者の管理
057 ステロイド使用患者の周術期管理
著者: 槙山和秀1
所属機関: 1横浜市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学教室
ページ範囲:P.316 - P.319
文献購入ページに移動生体内のステロイドホルモンのうち,糖質コルチコイドは,生体の恒常性を維持するうえで必須のホルモンである。糖質コルチコイドレセプターは全身の組織に広く分布しており,多くの組織は正常機能を発現するために糖質コルチコイドを必要としている。糖質コルチコイドの主な作用として,糖代謝,循環の維持,電解質代謝,免疫調整などが挙げられる。一方で糖質コルチコイドは,副腎皮質ホルモン剤として膠原病,アレルギー疾患,炎症性腸疾患,気管支喘息,腎疾患,臓器移植後などに,抗炎症・免疫抑制目的で幅広く長期的に投与されている。このような長期ステロイド投与患者に対して手術を行う場合,周術期管理として高血糖,創傷治癒遅延,易感染性,消化管潰瘍などに注意する必要がある。また手術侵襲に伴い,急性副腎不全をきたす危険性があるので,周術期にステロイドを予防的に補充するステロイドカバーが一般的に行われている。本項ではステロイド使用患者の周術期管理について概説するとともに,Cushing症候群術後,両側副腎摘除後のステロイド補充療法についても言及する。
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