文献詳細
特集 泌尿器科ベッドサイドマニュアル
Ⅵ 術式別にみた術前・術後管理
文献概要
[1]はじめに
自然排尿型の腸管利用新膀胱が発表されてから,ほぼ四半世紀が過ぎようとしている。その間に新膀胱の術式もさまざまなものが報告され日々進化してきた。しかしながら,このような状況においてもHautmann法とStuder法は普遍的であり,現在最も多くの施設で施行されている。最近では,新膀胱における長期的な成績も報告されている1,2)。新膀胱作製においては手技のノウハウも蓄積され,世界的にみても大学病院レベルの病院であれば,尿路変向として新膀胱は約半数の患者に施行されているのが現状である3)。すなわち,本術式は,試行錯誤の段階から成熟の段階に入ったと言っても過言ではない。しかしながら,本術式は周術期および術後合併症のリスクは決して低くはなく2),そのため,本邦における一般病院レベルでは,いまだに回腸導管に取って代わったとは言い難い。これは,新膀胱作製の手技は理解しても,実際の周術期管理,排尿リハビリテーションを含めたアフターケアについての知見が,いまだに十分に認識されていないためではないかとも考えられる。当院では,患者の適応があれば積極的に新膀胱を施行しており,その成績は良好である4)。その際,われわれが新膀胱作製のためのポイントとしているのは,①Studer法による簡便で安定した手術手技,②コメディカルを含めたチームでの術前,術後の患者管理を標準化していることである。手術手技については,前述しているので5),本項では,われわれの周術期管理におけるその具体的な方法について述べる。
自然排尿型の腸管利用新膀胱が発表されてから,ほぼ四半世紀が過ぎようとしている。その間に新膀胱の術式もさまざまなものが報告され日々進化してきた。しかしながら,このような状況においてもHautmann法とStuder法は普遍的であり,現在最も多くの施設で施行されている。最近では,新膀胱における長期的な成績も報告されている1,2)。新膀胱作製においては手技のノウハウも蓄積され,世界的にみても大学病院レベルの病院であれば,尿路変向として新膀胱は約半数の患者に施行されているのが現状である3)。すなわち,本術式は,試行錯誤の段階から成熟の段階に入ったと言っても過言ではない。しかしながら,本術式は周術期および術後合併症のリスクは決して低くはなく2),そのため,本邦における一般病院レベルでは,いまだに回腸導管に取って代わったとは言い難い。これは,新膀胱作製の手技は理解しても,実際の周術期管理,排尿リハビリテーションを含めたアフターケアについての知見が,いまだに十分に認識されていないためではないかとも考えられる。当院では,患者の適応があれば積極的に新膀胱を施行しており,その成績は良好である4)。その際,われわれが新膀胱作製のためのポイントとしているのは,①Studer法による簡便で安定した手術手技,②コメディカルを含めたチームでの術前,術後の患者管理を標準化していることである。手術手技については,前述しているので5),本項では,われわれの周術期管理におけるその具体的な方法について述べる。
参考文献
1)Studer UE, Burkhard PC, Schumacher M, et al:Twenty years experience with an ileal orthotopic low pressure bladder substitute:lessons to be leaned. J Urol 176:161-166, 2006
2)Hautmann RE, de Petriconi RC and Volkmer BG:25 years of experience with 1000 neobladdders:long-term complications. J Urol 185:2207-2212, 2011
3)Hautmann RE, Abol-Enein H, Hafez K, et al:Urinary diversion. World Health Organization(WHO)Consensus Conference on Bladder Cancer. Urology 69(1 Suppl):17-49, 2007
4)戸邉豊総,五十嵐辰男,市川智彦:手術手技③尿路変向術24.自排尿型―Studer法.大家基嗣(編):イラストレーテッド膀胱全摘除術と尿路変向術.臨泌 63(増刊):195-204,2009
5)戸邉豊総,二瓶直樹,市川智彦:当院における尿路変向としての新膀胱造設術.泌尿器外科 24(臨増):441-444,2011
6)肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断・治療・予防に関するガイドライン(2009年改訂版).循環器病の診断と治療に関するガイドライン2008年度合同研究班報告,pp52-53,2009
7)戸邉豊総:16.膀胱全摘除術・回腸導管造設術.稲田英一(編):これだけは知っておきたい術後管理―麻酔科診療プラクティス.文光堂,東京,pp200-201,2004
8)Kouba EJ, WallenEM and Pruthi RS:Gum chewing stimulates bowel mortility in patients undergoing radical cystectomy with urinary diversion. Urology 70:1053-1056, 2007
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